気儘に歩く~11月の記憶  和歌の浦の万葉歌碑を詠む

2012.11.4 日曜日 薄曇り 13:30~16:00   備忘録


「名勝 和歌の浦 万葉ウォーク」 主催 和歌の浦まちなびの会

紅葉には少々早いが、玉津島神社から万葉館、片男波公園、海岸通りから新和歌浦、御手洗池を巡る約7kmのコースを歩き古人が詠んだ万葉歌について学ぶ。

そもそも、万葉集とはなんぞ!・・・・・・・面白そうな催しには参加しない訳はない。10月より、一週間置きのウォーキングとなるが距離的には朝飯前、適度の距離である・・・・・・・・

万葉集とは・・・・・・・7世紀後半~8世紀後半頃に掛けて編纂された、現存する日本最古の和歌集である。 天皇・貴族・官人・防人等身分の垣根を越えて詠まれた歌を4,500首以上集めたもの。巻によって編者が異なるが、最終的に全20巻に纏めたのは大伴 家持といわれている。

当時の和歌の浦は、船頭山・妙見山・雲蓋山・奠供山・鏡山・妹背山は島山で、現片男波一帯は砂州と松並木が連なる白砂青松の地、入り江と島山の素晴らしい景観美は、此処を訪れる人々の眼に焼き付けたに違いない。


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今から千三百年前、大和の人々は海の自然に恵まれた紀の国の風物に強い憧れを抱いていたという。その現れに、万葉歌に出てくる紀伊の国を詠んだ歌は130首に及ぶ事からも察することができよう。


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724年(神亀元年甲子冬十月)この年即位された聖武天皇は玉津島に行幸された。平城京を出立した一行は、巨勢街道・南海道を経て4日で玉津島に到着したという。天皇はこの地に立ち、その景色の素晴らしさに詔(みことのり)を発せられた。

「山に登りて 海を望むに此処最も好し 遠行を労らずして 遊覧するに足れり
   故に 弱浜(わかはま)の名を改めて明光浦(あかのうら)とす
守戸を置きて荒穢(こうわい)せしむる事なかるべし 春秋二時 官人を差し遣わして
   玉津島の神 明光浦の霊を奠祭(てんさい)すべし」

この行幸に随行した山辺赤人や藤原郷は和歌を詠み、そのうち10首が万葉集に載せられた。

(写真下)玉津島神社前  行幸と万葉歌・衣通姫伝説等々説明を受ける参加者。

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1.石碑右 ・ 山部 赤人作 長歌  (巻6-917)  揮毫者 文学博士 犬養 孝

やすみしし 吾が大君の 常宮と 仕へまつれる 雑賀野ゆ 背向(そがひ)に見ゆる 沖つ島 
清き渚に 風吹けば 白波騒ぎ 潮干れば 珠藻刈りつつ 神代より 然と尊き 玉津島山

 やすみしし:枕詞 わが聖武天皇様の、永遠の御所としてお仕え申す、雑賀野の離宮から後ろの方に見える沖の島、その清らかな渚に、風が吹くと白波が騒ぎ、潮が引くと海藻を刈りして、神代の昔から、こうも貴い玉津島山よ・・・・・・・一説には、雑賀の人々が崇める離宮は、矢の宮神社当たり、歌を詠まれた場所は和歌浦小学校裏山付近ではないか。


2.石碑左 ・ 山部 赤人作反歌2首  (巻6ー918・919)

沖つ島 荒磯の珠藻 潮干満ちて い隠りゆかば 思ほえむかも

若の浦に 潮満ちくれば 潟をなみ 葦辺をさして 鶴鳴き渡る

 沖の島、その荒涼とした磯の海藻、潮が満ちて来て、海中に沈んでしまえば、さぞや恋しく思われようよ。

 若の浦に、潮が満ちてくると、干潟が無くなるので、葦の生えている辺りを指して鶴が鳴きながら飛んでいくよ。鶴の種類は鍋鶴・真鶴であろう・・・・・・

以上解釈は犬養 孝著 和歌山市の万葉より
 
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3.石碑(写真下) 作者未詳 (巻7-1222)

玉津島 見れども飽かず いかにして 包み持ち行かむ 見ぬ人のため 

 大和から数日掛けて、やっと辿り着いた玉津島で始めて見る壮大な景観、この景色を見たことのない大和の人に、いかにして包み持ち帰ろうか?伝えようか?  -以下解釈は標示板より-

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万葉館・健康館全景(写真下左)1FL:アリーナー・会議室他・2FL万葉資料館。
             (写真下右)1FL:入口正面に山部 赤人の玉津島賛歌3首の大陶板。

大陶板は、石碑1.2.の長歌・反歌2首を万葉仮名で表記した信楽焼の陶板。揮毫者 哲学者 梅原 猛氏    *注 揮毫(きごう) 書や絵を書くの意

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館内展示物 「斑鳩の春」 国指定伝統工芸士 博多人形制作者 三宅 隆氏作  
春うらら・・・・・万葉時代の装束を忠実に再現して、奈良の宮廷の庭で仲睦ましく語り合う若き男女の姿という。

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話しを聞きながら片男波公園を歩く・・・・・

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4.石碑  作者不詳(巻7-1213) 揮毫者 日本画家 稗田 一穂 

名草山 言にしありけり わが恋の 千重の一重も 慰めなくに 

 名草山は 言葉だけだったなあ 私の恋する苦しさの千の一つも 慰めては呉れない事よ

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5.石碑  作者不詳(巻12-3168) 揮毫者 俳人  森 寛紹

衣手の 真若の浦の 真砂子地 間無く時無し 我が恋ふらくは  

 和歌の浦の細かい隙間のない砂の様に、絶え間のない私の貴女への恋心の苦しさよ

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6.石碑 作者 藤原郷 (巻7-1215)  揮毫者 書家  山本 真船 

玉津島 よく見ていませ あおによし 平城なる人の 待ち問はばいかに 
 
 玉津島の景色をよく見てきなさい、奈良の都で貴方の帰りを待つ人が様子を尋ねたらどの様に答えますか    

*注 作者 藤原 郷とあるが一般に藤原房前とも言われるが、誰とも定められない。


作者不詳 (巻7-1217) 

玉津島 見ても善けくも われは無し 都に行きて 恋ひまく思へば
                                       
 折角玉津島を見たことなのに私には少しも嬉しくはない。都に戻ったならば、この景色を恋しく思うだろうと考えると・・・・・・

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7. 石碑 作者不詳 (巻12-3175) 揮毫者 木下 美代子  文学者 歌人 

若の浦に 袖さえぬれて 忘れ貝 捨へど妹は 忘らえなくに 

 和歌の浦で袖まで濡らして、忘れ貝(二枚貝の片方を意味する。これを身に付けると恋の苦しみ等を忘れると言われている)を拾うが妻は忘れないことよ。

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8.石碑 作者不詳 (巻7-1219)  揮毫者 神坂 次郎 作家  

若の浦に 白波立ちて 沖つ風 寒き夕は 大和し思ほゆ 

 和歌の浦は、秋冬には西南の風が多く、白波が立ち沖から吹く寒々しい夕方は大和のことが思い浮かべるよ。

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片男波公園の先端に立つ鶴のモニュメント・・・・・・・・・

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万葉の時代を彷彿させる痕跡、今は微塵も感じ取ることの出来ない片男波海岸通り・新和歌浦漁港一帯の景色。

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紀州東照宮・和歌浦天満宮を抱く権現山の山裾で、干満の影響を受ける汽水域の御手洗池は、古き時代は入り江の際奥であった事でしょう。慶長19年(1614)当時、入り江に船を浮かべ船上狂言等が演じられている図絵が残されているという。

今は、埋め立てが進み家並みが密集し町化が進んでいます。往時の面影は、河口周辺・市町川・御手洗池が僅かに昔を思い起こす痕跡と言えるのでしょうか。水面近くを鯔がゆっくりと遊泳する。

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時々、散策する万葉の小径。ゆっくりと万葉歌に触れながら歩くこともまた良きかなである。
折角の機会と心に決めて、帰宅後に復習を兼ねて犬養 孝著「和歌山市の万葉」・まちなびの会講演資料・和歌山市史等より此処に移し書きをして手控えとする。



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この記事へのコメント

  • セラ吉

    こんばんは、若山さん。
    隠れていた才能が花開いたのか、
    歌がスラスラできますね。
    片男波で”えい”の姿を教えてもらおうと
    思っていましたが、残念でした。
    このところ朝晩は冷え込みますので、
    あまり無理をしないでください。
    24日には養翠園で当番です。
    お時間があれば、先輩の講義を
    聞きたいものですが・・・。
    2012年11月13日 22:32
  • やろい

    今晩は。
    万葉碑が多くあるのですね和歌山には。
    先日黒江のまちを散策させていただきました。
    ボランティアさんの案内で万葉の碑を拝見しました。
    紀三井寺から新和歌の浦見えました。
    揮毫者  犬養 孝先生が多いですね。
    独特の節で朗々と読んでいただいたのが思い浮かびます。
    2012年11月14日 19:58
  • 若山

    セラ吉さんおはようございます~
    紅葉半ばにして、冬を感じる程寒くなりました。そも懐加減も拍車を掛けているようですが・・・・・無理をしないで歳を越せるように頑張りたいと思っています。
     24日の件は、「景観まちある」参加申し込みを致しました故、次の機会にセラ吉節に酔いたいと思っています。期待しています!

     和歌川河口の水鳥・魚観察はこれからが面白くなります。期待せずにお待ちください~
    2012年11月15日 09:02
  • 若山

    やろいさんおはようございます~
    寒くなりました、今朝方雨に混じって雹も降ってきました。色付き始めた紅葉はイジケテしまうのではと心配しなければなりません。

    黒江の町並みを散策、満喫戴けたでしょうか・・・・景観保存を始めて間がない町並みですが、時間を掛けて散策すると思わぬ発見が出来ますね。
    次は、和歌山市の散策に来ていただければ光栄です・・・・・
    2012年11月15日 09:12
  • 翔女

    若山さんの、散歩コースの、「和歌浦」を万葉集の観点からの切り込みは、一興有りです^^^
    21日「俳句の吟行コース」で行きますので、予習が出来大変参考になります~
    和歌は、相聞歌が多く、そこはかとなき趣が有り、万葉集の4500首のうち130首が和歌浦徒の事にびっくり;;;
    誇りですね^^
    もっと活性化して、魅力ある町おこし町つくりを、期待します^^^
    2012年11月15日 10:08
  • 若山

    翔女さん今晩は~

    21日吟行ウォーク楽しんで下さい~和歌の浦は、幼少期の数年間暮らした町です。苦しい時代で有ったことだけしか思い出せません。しかし、苦しかった筈の地近くに、狭いながらも家を持ったことは不思議な縁です。
    町の活性化・魅力有る町を期待するも、その力の及ぶところにあらずは残念ですが、拙文ながら、皆様に和歌の浦の様子の一端でも知って貰えば嬉しいことです・・・・
    2012年11月15日 20:38

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Tracked: 2013-07-05 20:22